「複数人でExcelを更新しているため、どのファイルが最新か分からない」
「ファイルが増えすぎて、必要な情報を探すのに時間がかかる」
「在庫、顧客、案件、予約などの管理をExcelからWebシステムへ移行したい」
このような課題を抱えていても、実際にシステム化するとなると、どのくらいの費用がかかるのか分からない方も多いのではないでしょうか。
Excel業務をシステム化する費用は、数万円程度のVBA改修から、数百万円以上のWebシステム開発まで大きな幅があります。
重要なのは、現在のExcelをそのままWeb化することではありません。
現在の業務を整理し、Excelに残す部分、既存サービスを利用する部分、独自のWebシステムを開発する部分を切り分ける必要があります。
この記事では、Excel業務をシステム化する方法、費用の目安、ExcelからWebシステムへ移行する判断基準、開発費用を抑えるポイントについて解説します。
Excel業務をシステム化する費用の目安
Excel業務をシステム化する方法は、大きく次の4つに分けられます。
| 方法 | 初期費用の目安 | 向いている業務 |
|---|---|---|
| Excel関数・VBAによる改善 | 5万~100万円程度 | 少人数で行う定型業務 |
| SaaS・ノーコードツールへの移行 | 10万~150万円程度 | 標準的な顧客・案件・在庫管理 |
| 既存システムのカスタマイズ | 個別見積もり | 標準機能に独自業務を追加したい場合 |
| Webシステムのスクラッチ開発 | 100万~1,000万円以上 | 独自性が高い業務や基幹業務 |
公開されている費用情報でも、Excelマクロ・VBAは5万~100万円程度、ノーコードやSaaSへの移行は10万~150万円程度、スクラッチ開発は100万~1,000万円を超える場合があるとされています。ただし、実際の費用は機能数、利用人数、データ移行、外部連携などによって大きく変わります。
「ExcelをWebシステム化する」といっても、すべての企業にスクラッチ開発が必要なわけではありません。
簡単な集計作業であればVBA、標準的な顧客管理であれば既存SaaS、独自の管理項目や業務フローがある場合はカスタマイズ開発が適しています。
ExcelのWebシステム化とは
ExcelのWebシステム化とは、Excelファイルで行っている入力、検索、集計、承認、履歴管理などを、ブラウザから利用できるシステムへ移行することです。
例えば、Excelで次のような業務を管理しているとします。
- 商品・在庫管理
- 顧客管理
- 案件・進捗管理
- 予約管理
- 売上・請求管理
- 勤怠管理
- 問い合わせ管理
- 点検・作業記録
- 申請・承認
- 見積書や報告書の作成
Webシステムへ移行すると、パソコンへ専用ソフトをインストールしなくても、ブラウザから情報を登録・確認できます。
スマートフォンやタブレットへの対応、ユーザーごとの権限管理、入力履歴の保存、メール通知、外部サービスとの連携なども可能になります。
ただし、Excelにもオンラインでの共同編集やバージョン履歴などの機能があります。Microsoft 365やExcel for the webを適切に利用すれば、独自システムを開発しなくても改善できる場合があります。
そのため、最初から「Excelを廃止する」と決めるのではなく、現在の問題がExcelの設定で解決できるのか、Webシステムが必要なのかを判断することが重要です。
ExcelからWebシステムへ移行すべきサイン
次の項目に複数当てはまる場合は、Excel管理からシステムへの移行を検討する段階に入っています。
ファイルが複数に分かれている
担当者別、拠点別、月別などでExcelファイルが分かれていると、全体の状況を把握するためにファイルを集計する必要があります。
「最新版」「修正版」「確定版」など、似たファイルが増えている場合も注意が必要です。
Webシステムでは、データを一つのデータベースへ保存するため、利用者が同じ情報を確認できます。
複数人が同時に更新する
複数人がExcelを更新する業務では、入力の重複、上書き、更新漏れが発生しやすくなります。
Excelの共同編集で解決できる場合もありますが、担当者ごとに操作できる範囲を変えたい場合や、入力ルールを厳密に管理したい場合は、Webシステムが適しています。
入力ルールが統一されていない
同じ取引先や商品でも、担当者によって表記が異なることがあります。
例えば、次のようなケースです。
- 株式会社と(株)が混在している
- 全角と半角が混在している
- 商品名を手入力している
- 日付の入力形式が統一されていない
- 必須項目が空欄になっている
- 計算式が削除されている
Webシステムでは、選択肢、必須入力、文字数、数値範囲などを設定し、入力ミスを防止できます。
特定の担当者しか管理できない
複雑な関数やVBAが使用されており、作成した担当者しか修正できない状態は、属人化のリスクがあります。
担当者が異動、退職、休職した場合に、業務を継続できなくなる可能性があります。
システム化する際は、操作方法だけでなく、業務ルールや計算方法も整理して共有できる状態にします。
権限管理が必要になった
Excelファイルでは、ファイルを開ける人がすべての情報を閲覧できてしまうケースがあります。
Webシステムでは、次のように権限を分けられます。
- 管理者
- 一般担当者
- 承認者
- 閲覧のみ
- 拠点別
- 部門別
- 担当顧客別
顧客情報、金額、個人情報などを扱う場合は、ユーザーごとの権限管理が重要です。
変更履歴を残したい
「誰が、いつ、何を変更したか」を確認したい場合も、Webシステムへの移行が適しています。
入力、更新、削除、承認などの操作履歴を保存することで、問題が発生した際に原因を確認しやすくなります。
外出先や現場から入力したい
倉庫、店舗、工場、訪問先などで利用する場合は、スマートフォンやタブレットから操作できるWebシステムが便利です。
現場で入力した情報を事務所で再入力する必要がなくなり、転記作業や入力漏れを減らせます。
他のシステムと連携したい
Excelの情報を、会計システム、ECサイト、顧客管理サービス、Google Workspace、Slackなどへ連携したい場合があります。
Webシステムでは、APIやCSVを利用して外部サービスと連携できます。
Excel業務をシステム化する4つの方法
1.Excel関数・VBAで改善する
現在のExcelを残し、関数やVBAを使って作業を自動化する方法です。
次のような業務に向いています。
- データの転記
- CSVの読み込み
- 複数ファイルの集計
- 帳票の作成
- 定型的な計算
- PDFの出力
- メールの下書き作成
利用人数が少なく、業務フローが大きく変わらない場合は、最も費用を抑えやすい方法です。
一方、複数人での同時利用、詳細な権限管理、スマートフォン対応、大量データの管理には向かない場合があります。
2.SaaSやノーコードツールへ移行する
顧客管理、案件管理、予約管理、在庫管理などの既存サービスを利用する方法です。
独自開発より短期間で導入でき、初期費用を抑えやすいメリットがあります。
ただし、次の点を確認する必要があります。
- 必要な管理項目を登録できるか
- 現在の業務フローに対応できるか
- 利用人数によって料金が上がらないか
- データを取り出せるか
- 外部システムと連携できるか
- 必要な権限設定ができるか
- 将来的な機能追加に対応できるか
標準機能で業務をカバーできる場合は、独自システムを開発するよりSaaSを利用した方が合理的です。
3.完成済みシステムをカスタマイズする
すでに開発されているシステムをベースに、必要な項目や機能を追加する方法です。
例えば、在庫管理システムであれば、ログイン、商品管理、在庫一覧、入出庫履歴などの基本機能を再利用し、次のような部分だけを追加します。
- 自社独自の管理項目
- バーコード・QRコード
- 帳票出力
- メール・Slack通知
- Excelデータ移行
- 承認フロー
- 外部システム連携
- グラフ・ダッシュボード
共通機能をゼロから開発しないため、フルスクラッチ開発よりも費用と期間を抑えられる可能性があります。
市販サービスでは業務に合わないものの、すべてを独自開発するほどではない企業に適した方法です。
4.独自のWebシステムを開発する
現在の業務に合わせて、画面、データベース、処理、権限などを個別に設計する方法です。
次のような場合に適しています。
- 自社独自の業務フローがある
- 複数の業務を一つのシステムへまとめたい
- 外部システムとの連携が多い
- 複雑な計算や承認ルールがある
- 多数のユーザーや拠点が利用する
- システム自体が事業の中心になる
- 将来的な機能追加が多い
自由度が高い反面、要件定義、設計、開発、テスト、運用環境の構築が必要になるため、費用も高くなります。
ExcelからWebシステムへの移行費用を左右する要素
画面と機能の数
ログイン、一覧、登録、編集、検索、集計、管理画面など、必要な画面が増えるほど費用は上がります。
同じ顧客管理システムでも、顧客情報を登録するだけのシステムと、案件、請求、問い合わせまで管理するシステムでは規模が異なります。
利用人数と権限
管理者と一般ユーザーだけなのか、拠点、部門、役職、担当者ごとに権限を分けるのかによって設計が変わります。
権限が複雑になるほど、開発とテストに必要な工数が増えます。
Excelデータの移行
既存のExcelデータを新しいシステムへ移す場合は、データの整理と変換が必要です。
次のような状態では、移行作業が増えます。
- 表記が統一されていない
- 同じデータが重複している
- 複数ファイルに分かれている
- セル結合が多い
- 一つのセルに複数の情報が入っている
- 数式の結果だけを移行する必要がある
- 不要な古いデータが混在している
システム開発費だけでなく、データを整理する費用も見積もりに含める必要があります。
外部サービスとの連携
会計ソフト、ECサイト、決済サービス、メール、Slackなどと連携する場合は、接続先の仕様確認とテストが必要です。
連携先にAPIが用意されていない場合は、CSVの取り込みや別の方法を検討します。
帳票・PDF・Excel出力
見積書、請求書、納品書、在庫表、報告書などを決められたレイアウトで出力する場合は、帳票ごとの実装が必要です。
細かな印刷位置や複雑なレイアウトがあると、調整に時間がかかります。
セキュリティと運用要件
個人情報や機密情報を扱う場合は、認証、権限、通信の暗号化、バックアップ、操作履歴などを設計します。
また、次の要件も費用に影響します。
- 24時間利用するか
- 障害時にどこまで対応するか
- バックアップを何日保存するか
- データ量はどの程度か
- アクセスが集中する時間帯があるか
- 保守・運用を誰が担当するか
Excel業務のシステム化費用を抑える方法
Excelをそのまま再現しない
現在のExcelを画面上へそのまま再現すると、不要な項目や複雑な操作までシステムへ持ち込んでしまいます。
まず、次の項目を整理します。
- 本当に必要なデータ
- 使用していない列
- 重複している入力
- 自動計算できる項目
- 他の情報から取得できる項目
- 廃止できる作業
- 人が判断する必要がある作業
システム化と同時に業務を整理することで、画面と機能を減らし、開発費用を抑えられます。
最初からすべて作らない
最初は必要最低限の機能だけを開発し、実際に使用してから追加する方法が有効です。
例えば、在庫管理の場合は、最初に次の機能へ絞れます。
- 商品管理
- 在庫一覧
- 入庫・出庫
- 履歴
- 検索
バーコード、発注管理、通知、分析などは、基本機能の運用を確認してから追加できます。
既存サービスと独自開発を組み合わせる
認証、メール送信、ファイル保存、決済など、すでに提供されているクラウドサービスを利用すると、すべてを独自開発する必要がありません。
ただし、月額費用やサービス停止時の影響も確認する必要があります。
完成済みシステムを活用する
在庫管理、予約管理、顧客管理など、一般的な機能を持つシステムをベースにカスタマイズすれば、開発範囲を減らせます。
すべてをゼロから開発する必要があるのか、流用できる機能がないかを開発会社へ確認してください。
現在のExcelとサンプルデータを用意する
見積もりを依頼する際は、実際に使用しているExcelと、個人情報を除いたサンプルデータを用意します。
次の情報もまとめておくと、見積もりの精度が上がります。
- 誰が利用するか
- 何人で利用するか
- どのような順番で作業するか
- 月に何件のデータを扱うか
- 現在困っていること
- 必ず必要な機能
- なくても運用できる機能
- 将来的に追加したい機能
要件が曖昧な状態では、開発会社がリスクを見込んで高めに見積もる場合があります。
Excelシステム化を依頼する開発会社の選び方
Excelを廃止しない選択肢も提案してくれるか
すべてのExcel業務をWebシステムへ移行する必要はありません。
Excelの改善、既存SaaS、ノーコード、独自開発を比較し、適切な方法を提案してくれる開発会社を選びましょう。
業務内容を理解してくれるか
システム開発では、使用する技術よりも、現在の業務を正しく理解することが重要です。
「この項目は何のために入力しているのか」「この集計結果を誰が使うのか」といった点まで確認してくれるかを見ます。
IPAも、中小企業のDXでは単にデジタルツールを導入するだけでなく、業務や企業のあり方を見直すことが重要だと説明しています。
データ移行まで対応できるか
システムだけ完成しても、既存データを移行できなければ運用を開始できません。
データの整理、変換、取り込み、移行後の確認まで対応範囲に含まれているか確認します。
見積もりの内訳が分かるか
「システム開発一式」だけではなく、次のように内訳が示されているか確認します。
- 要件定義
- 設計
- 開発
- テスト
- データ移行
- 公開作業
- 操作説明
- 保守・運用
- クラウド利用料
初期費用だけでなく、導入後に発生する月額費用も確認してください。
システムとデータを誰が管理するか
納品後に、システム、ソースコード、クラウドアカウント、データベースを誰が管理するのか確認します。
開発会社との契約を終了した場合でも、データを取り出し、システムを継続利用できる構成が望ましいです。
ExcelからWebシステムへ移行する流れ
1.現在のExcelと業務フローを確認する
使用しているExcel、入力項目、計算式、マクロ、関連ファイルを確認します。
同時に、誰がどのタイミングで入力し、その情報を何に利用しているかを整理します。
2.課題と目的を整理する
「Excelをなくしたい」ではなく、解決したい課題を明確にします。
例えば、次のような目的です。
- 入力の重複をなくす
- 在庫数をリアルタイムで確認する
- 予約の定員超過を防ぐ
- 顧客情報を一元管理する
- 作業履歴を残す
- 外出先から入力する
- 集計時間を短縮する
3.システム化する範囲を決める
現在の業務を、次のように分けます。
- Excelのまま残す業務
- 既存サービスを利用する業務
- Webシステムへ移行する業務
- 廃止する業務
業務全体を一度に移行せず、優先度の高い部分から始めることもできます。
4.画面と機能を確認する
文章だけで要件を決めるのではなく、画面イメージやプロトタイプを確認します。
早い段階で実際の操作を確認することで、完成後の認識違いを減らせます。
5.開発・テストを行う
決定した内容をもとにシステムを開発します。
開発者だけでなく、実際に業務を行う担当者にも操作してもらい、現在の運用に合っているか確認します。
6.Excelデータを移行する
データを整理し、新しいシステムへ取り込みます。
移行後は、件数、金額、在庫数などが元のExcelと一致しているかを確認します。
7.段階的に運用を切り替える
一定期間はExcelと新システムを併用し、問題がないことを確認してから完全移行する方法もあります。
ただし、併用期間が長すぎると二重入力が発生するため、切り替える日を決めておくことが重要です。
Excel業務のシステム化に関するよくある質問
Excel業務のシステム化にはいくらかかりますか?
簡単なVBA改修であれば数万円から、SaaSやノーコードの導入支援は数十万円程度、独自のWebシステム開発は100万円以上になることがあります。
ただし、費用は画面数、機能数、利用人数、データ移行、外部連携によって大きく変わります。
まずは現在のExcelと業務内容を確認し、システム化する範囲を整理する必要があります。
現在のExcelデータをそのまま移行できますか?
多くの場合、CSVなどの形式に変換して移行できます。
ただし、表記の不統一、重複、セル結合、複雑な数式などがある場合は、事前にデータを整理する必要があります。
ExcelとWebシステムを併用できますか?
可能です。
WebシステムからExcelやCSVを出力したり、Excelで作成したデータをシステムへ取り込んだりできます。
すべての作業をWebシステムへ移さず、分析や帳票加工にはExcelを残す方法もあります。
小規模な会社でもWebシステムを導入できますか?
導入できます。
最初から大規模なシステムを作る必要はありません。
利用者と機能を限定し、小規模なシステムから開始して、必要に応じて機能を追加できます。
SaaSと独自システムのどちらがよいですか?
標準的な業務であれば、SaaSの方が費用と導入期間を抑えやすくなります。
一方、独自の管理項目、複雑な業務フロー、外部連携が必要な場合は、個別のWebシステムが適しています。
両方を比較して判断することが重要です。
相談前に要件をまとめる必要はありますか?
詳細な仕様書を用意する必要はありません。
現在使用しているExcelと、困っていること、利用人数、実現したい内容があれば、ヒアリングを通して必要な機能を整理できます。
Excel業務のシステム化をご検討の方へ
Excelは、表の作成、計算、集計、分析などを柔軟に行える便利なツールです。
少人数で管理している間は、無理にシステムへ移行する必要はありません。
一方で、利用者、ファイル、データ量、業務ルールが増えると、Excel管理を続けること自体が業務負担になる場合があります。
hiro-dev-labでは、現在使用しているExcelや業務フローを確認し、次の選択肢を比較しながらシステム化を支援します。
- 現在のExcelを改善する
- VBAやプログラムで作業を自動化する
- 既存のクラウドサービスへ移行する
- 完成済みシステムをカスタマイズする
- 業務専用のWebシステムを開発する
在庫管理、予約管理、顧客・案件管理など、業務内容に合わせたWebシステムの設計・開発にも対応しています。
「現在のExcelをシステム化できるか知りたい」
「開発費用がどのくらいになるか確認したい」
「市販システムと独自開発のどちらがよいか相談したい」
このような段階でも、現在の業務とExcelを確認しながら、必要な機能と進め方を整理します。