「案件管理をExcelで行っているが、件数が増えて見づらくなってきた」
「誰がどの案件を担当しているのか分かりにくい」
「期限切れの案件に後から気づくことがある」
「営業・制作・事務など複数人で同じExcelを更新している」
このような状態になっている場合、Excelによる案件管理が業務規模に合わなくなっている可能性があります。
Excelは、案件数が少なく、利用者も限られている段階では非常に便利です。
例えば、
- 案件名
- 顧客名
- 担当者
- ステータス
- 金額
- 開始日
- 期限
- 備考
を一覧で管理するだけなら、Excelでも十分対応できます。
しかし、案件数や利用者が増えると、
- 更新漏れ
- 対応漏れ
- 期限超過
- 担当者の属人化
- ステータスのばらつき
- ファイルの重複
- 履歴が分からない
- 必要な案件を探しにくい
といった問題が発生しやすくなります。
この記事では、Excelで案件管理を続ける限界、改善方法、Googleスプレッドシートや既存サービスへの移行、専用のWebシステムを検討する判断基準を解説します。
Excelで案件管理はできる?
案件数や利用人数が少なければ、Excelでも案件管理できます。
例えば、次のような表です。
案件ID
顧客名
案件名
担当者
ステータス
受注金額
開始日
期限
次回対応日
備考
フィルターや並び替えを使えば、
- 担当者別
- ステータス別
- 期限順
- 顧客別
に案件を確認できます。
条件付き書式を使えば、期限が近い案件を色付けすることもできます。
そのため、Excelによる案件管理そのものが悪いわけではありません。
重要なのは、現在の案件数や業務フローにExcelが合っているかどうかです。
Excelでの案件管理が向いているケース
次のような場合は、Excelを使い続けても大きな問題は起きにくいでしょう。
- 案件数が少ない
- 利用者が1〜2人程度
- 更新頻度が低い
- 案件の進捗が単純
- 詳細な対応履歴が不要
- 複雑な権限管理が不要
- 案件ごとのファイル管理が少ない
- 他システムとの連携が不要
例えば、月に数件の案件だけを管理する個人事業主であれば、専用システムを導入する必要性は高くありません。
Excel案件管理の限界が出やすいタイミング
案件数が増えた
案件が10件程度なら、一覧を見れば状況を把握できます。
しかし、
50件
100件
500件
と増えるにつれて、必要な案件を探す作業が増えます。
特に、
- 完了案件
- 失注案件
- 保留案件
- 進行中案件
をすべて同じExcelへ蓄積していると、一覧が長くなります。
利用者が増えた
一人で管理していたExcelを、
営業
制作
事務
管理者
など複数人が編集するようになると、運用が難しくなります。
例えば、
- 同じセルを更新する
- 担当者によって入力方法が違う
- 必要な列を勝手に追加する
- フィルターをかけたまま保存する
- 数式を削除する
といった問題が発生します。
進捗ステータスが増えた
最初は、
未対応
対応中
完了
だけだった案件管理でも、業務が複雑になると、
問い合わせ
ヒアリング
見積作成
見積提出
回答待ち
契約
作業中
確認待ち
完了
失注
保留
などに増えていきます。
ステータスが増えるほど、入力ルールや更新タイミングを決める必要があります。
案件ごとの対応履歴が増えた
案件管理では、現在のステータスだけでなく、
「これまで何をしたか」
も重要です。
例えば、
7/10 問い合わせ
7/11 電話ヒアリング
7/13 見積送付
7/17 再連絡
7/20 契約
という履歴です。
Excelの備考欄へすべて書いていると、情報が増えるほど見づらくなります。
期限管理が重要になった
案件には、
- 見積提出期限
- 顧客への連絡日
- 納期
- 契約更新日
- 支払期限
など、複数の期限があります。
Excelでは色付けできますが、担当者がファイルを開かなければ気づけません。
期限が重要な業務では、メールやチャットによる通知が必要になることがあります。
Excelによる案件管理で起きやすい問題
最新ファイルが分からなくなる
案件管理Excelをメールやチャットで共有すると、
案件管理.xlsx
案件管理_最新版.xlsx
案件管理_最新版2.xlsx
案件管理_田中修正.xlsx
のようにファイルが増えることがあります。
複数のファイルへ別々の更新が入ると、統合が難しくなります。
案件管理では、正しい情報を一か所に集約することが重要です。
ステータスの表記がばらつく
自由入力にしていると、
対応中
進行中
作業中
対応
など、同じ意味でも別の値が入力されることがあります。
これでは、
「対応中の案件だけ集計したい」
というときに正しく抽出できません。
更新されない案件が残る
Excelでは、担当者が自分で更新しなければ情報は変わりません。
例えば、
ステータス:見積提出
最終更新:3か月前
という案件が残ることがあります。
実際には失注していても、Excel上では進行中のままです。
誰が変更したか分からない
ある日、
見積提出
↓
失注
へ変更されていても、
- 誰が変更したか
- いつ変更したか
- なぜ失注したか
が分からない場合があります。
複数人で案件管理する場合、変更履歴が重要になります。
担当者変更が分かりにくい
担当者が異動・退職すると、案件の引き継ぎが必要です。
Excelでは、
担当者:田中
と表示されていても、その案件が誰へ引き継がれたのか分からないことがあります。
過去の対応履歴も残っていなければ、新しい担当者はメールなどを探す必要があります。
期限超過に気づきにくい
条件付き書式で赤色にしていても、Excelを開かなければ分かりません。
特に、
次回連絡日
見積期限
契約更新日
などが複数存在すると、目視確認だけでは対応漏れが起きやすくなります。
案件ごとの資料が分散する
案件情報はExcel、見積書は共有フォルダ、メールはOutlook、打ち合わせ内容は個人メモという状態になることがあります。
案件情報
→ Excel
見積書
→ ファイルサーバー
メール
→ メールボックス
議事録
→ Word
タスク
→ 個人メモ
情報が分散すると、案件全体を把握するのに時間がかかります。
案件ごとの利益が分からない
案件管理が進捗だけを目的としていると、
- 売上
- 原価
- 工数
- 利益
まで管理できていない場合があります。
案件数が増えた段階では、
「忙しいが利益が出ている案件はどれか」
を確認する必要が出てきます。
Excel案件管理を改善する方法
案件IDを付ける
案件名だけではなく、一意のIDを付けます。
例えば、
P20260001
P20260002
P20260003
です。
顧客名や案件名が変更されても、同じ案件として管理できます。
ステータスをプルダウンにする
自由入力をやめ、選択式にします。
例えば、
問い合わせ
見積中
回答待ち
契約済み
作業中
完了
失注
保留
です。
表記ゆれを防ぎ、集計しやすくなります。
担当者もマスター化する
担当者名も自由入力せず、別シートの社員一覧から選択します。
これにより、
田中
田中さん
田中太郎
のような表記差を防げます。
次回対応日を管理する
現在のステータスだけではなく、
次回対応日
を追加します。
これにより、
「次に何をする案件か」
を確認できます。
例えば、
顧客:A社
ステータス:見積提出
次回対応日:8/3
という管理です。
期限を色分けする
条件付き書式を使って、
期限超過
赤
3日以内
黄色
それ以外
通常
などにします。
小規模な管理であれば、これだけでも対応漏れを減らせます。
完了案件を分ける
完了・失注案件が大量に残っている場合は、別シートへ移す方法があります。
ただし、複数シートに分けるほど検索・集計は難しくなります。
長期的には、ステータスで絞り込める仕組みの方が管理しやすくなります。
案件管理をGoogleスプレッドシートへ移行する
複数人で同時編集したい場合、Googleスプレッドシートへ移行する方法があります。
メリット
- 複数人で同時編集しやすい
- 自動保存
- 変更履歴
- ブラウザから利用できる
- Googleフォームと連携できる
- GASで通知を追加できる
例えば、
次回対応日が今日
↓
GAS
↓
担当者へメール通知
という自動化も可能です。
デメリット
- データ量が増えると重くなる
- 複雑な権限管理は難しい
- 案件ごとの履歴管理には工夫が必要
- 大規模な業務システムには向かない
Excelより一歩進んだ運用としては有効です。
案件管理ツール・SaaSを導入する
市販の案件管理、CRM、プロジェクト管理ツールを導入する方法があります。
代表的な機能は、
- 案件一覧
- 担当者
- ステータス
- 期限
- コメント
- ファイル
- ダッシュボード
- 通知
などです。
標準的な業務であれば、独自システムを開発するより既製サービスを使う方が安くなることがあります。
SaaSが向いているケース
- 一般的な営業案件を管理したい
- 特殊な業務フローが少ない
- 多くの機能が必要
- 社内で設定変更したい
- 開発費用をかけたくない
SaaSが合わないケース
- 独自ステータスが多い
- 自社独自のデータを管理したい
- 他システムとの特殊な連携が必要
- 不要な機能が多い
- 操作を極力シンプルにしたい
- 月額利用料が利用人数に比例して増える
- 業務フローをシステムに合わせにくい
この場合は、小規模な専用Webシステムが候補になります。
Excel案件管理をWebシステム化する方法
Excelの案件表を、ブラウザから利用できる管理画面へ移行します。
例えば、
Excel
↓
データベース
↓
案件管理Webシステム
という構成です。
ユーザーはブラウザからログインし、
案件一覧
↓
検索
↓
案件詳細
↓
進捗更新
↓
対応履歴追加
という形で利用します。
Web化すると追加できる機能
案件一覧
案件を一覧表示します。
例えば、
| 案件 | 顧客 | 担当 | 状況 | 期限 |
|---|---|---|---|---|
| A案件 | A社 | 田中 | 見積中 | 8/5 |
| B案件 | B社 | 鈴木 | 作業中 | 8/10 |
必要な情報だけを表示します。
詳細検索
例えば、
担当:田中
ステータス:見積中
期限:8月中
の条件を組み合わせて検索できます。
対応履歴
案件ごとに履歴を残します。
7/20 田中
顧客へヒアリング
7/22 鈴木
見積作成
7/24 田中
見積書送付
案件を引き継いだ担当者でも、これまでの流れを確認できます。
次回対応管理
案件ごとに、
- 次回連絡日
- 次に行う作業
- 担当者
を登録できます。
自動通知
例えば、
次回対応日が明日
↓
担当者へ通知
または、
期限を3日超過
↓
担当者と管理者へ通知
などです。
権限管理
例えば、
管理者
全案件
営業マネージャー
自部署の案件
担当者
自分の案件
のように制御できます。
ファイル添付
案件ごとに、
- 見積書
- 契約書
- 提案書
- 画像
などを紐付けられます。
CSV出力
検索した案件だけCSVへ出力できます。
ダッシュボード
例えば、
進行中案件
32件
期限超過
5件
今月受注
8件
受注金額
4,200,000円
などを表示できます。
ExcelとWeb案件管理の違い
| 項目 | Excel | Webシステム |
|---|---|---|
| 導入コスト | 低い | 開発費用が必要 |
| 少人数利用 | 向いている | 対応可能 |
| 複数人利用 | 管理が複雑になりやすい | 向いている |
| 同時更新 | 条件による | 対応しやすい |
| 履歴 | 管理しにくい | 残しやすい |
| 通知 | 工夫が必要 | 自動化しやすい |
| 権限 | 限定的 | 細かく設定可能 |
| ファイル管理 | 別管理になりやすい | 案件に紐付け可能 |
| API連携 | 工夫が必要 | 対応しやすい |
| 集計 | Excelが得意 | 自動表示可能 |
ExcelとWebシステムには、それぞれ向いている規模があります。
Excel案件管理をWeb化する判断基準
次の項目が複数当てはまる場合は、Web化を検討する価値があります。
- 案件数が増えて検索に時間がかかる
- 利用者が増えた
- ステータスが更新されない
- 期限超過が発生している
- 案件ごとの対応履歴を残したい
- 担当者変更時の引き継ぎが大変
- 権限を分けたい
- ファイルが分散している
- 同じ情報を別システムへ転記している
- 集計資料を毎月手作業で作っている
一つ当てはまっただけでシステム化する必要はありません。
問題によってはExcelの改善だけで十分です。
案件管理システムを小さく作るなら何が必要?
最初から多くの機能を入れる必要はありません。
例えば、最初は次の機能だけでも運用できます。
ログイン
案件一覧
案件登録
案件編集
検索
担当者
ステータス
期限
その後、実際に利用しながら、
対応履歴
通知
ファイル
CSV
ダッシュボード
権限
などを追加できます。
この方法なら、最初から大規模な開発費をかけずに始められます。
Excelから案件管理システムへ移行する流れ
1.現在のExcelを整理する
何を管理しているか確認します。
2.不要な列を削除する
長期間使っているExcelでは、現在使われていない列が残っていることがあります。
3.ステータスを整理する
例えば、
進行中
対応中
作業中
が同じ意味なら、一つへ統一します。
4.担当者を整理する
退職者や重複した名称を整理します。
5.案件IDを付ける
案件を一意に識別できるようにします。
6.必要な機能を決める
現場で本当に必要な機能へ絞ります。
7.Excelデータを移行する
整形したデータをデータベースへ登録します。
8.一部メンバーで利用する
まず少人数で試します。
9.改善する
実際に使いながら、
- 項目
- 検索
- 画面
- 通知
を調整します。
10.Excelへの二重入力をやめる
新しいシステムとExcelの両方を更新し続けると、どちらが正しい情報か分からなくなります。
正式な切り替え日を決めます。
Excel案件管理で失敗しやすい運用
案件ごとにExcelファイルを作る
案件全体を一覧で確認できなくなります。
担当者ごとに別ファイルを持つ
顧客や案件が重複します。
自由入力だけで管理する
ステータスや担当者の表記がばらつきます。
備考欄へすべて書く
対応履歴が検索できなくなります。
期限だけ入れて通知しない
期限が入力されていても、見なければ対応漏れは防げません。
完了案件を削除する
過去の実績や対応履歴を確認できなくなります。
削除せず、ステータスで管理する方が安全です。
Excelを複雑にしすぎる
Excelの限界を感じているにもかかわらず、
- 大量のVBA
- 多数のシート
- 複雑な数式
- 大量の条件付き書式
を追加すると、さらに属人化する可能性があります。
Excelを改善するのか、別の仕組みへ移行するのかを判断することが重要です。
案件管理を改善するときは業務全体を見る
案件管理だけを改善しても、周辺に手作業が残っていることがあります。
例えば、
お問い合わせ
↓
Excelへ案件登録
↓
見積書をExcelで作成
↓
PDF保存
↓
メール
↓
案件Excelを更新
という業務です。
この場合、案件一覧だけWeb化しても、全体の効率化にはなりません。
将来的には、
お問い合わせ
↓
案件を自動登録
↓
管理画面で対応
↓
見積書PDF生成
↓
メール送信
↓
進捗自動更新
といった形まで改善できます。
ただし、一度にすべて開発する必要はありません。
効果が大きい部分から段階的に改善します。
hiro-dev-labのExcel案件管理・Web化支援
hiro-dev-labでは、中小企業向けに、Excelで行っている案件管理の改善やWeb化を支援しています。
対応内容の例は次のとおりです。
- Excel案件管理の整理
- ステータスの標準化
- 担当者・マスター整理
- 複数Excelの統合
- Excel・CSVデータ移行
- Googleスプレッドシートへの移行
- GASによる期限通知
- 案件管理画面の開発
- 案件検索
- 担当者管理
- 進捗管理
- 対応履歴
- 期限管理
- 自動通知
- CSV出力
- ファイル管理
- ダッシュボード
- 権限管理
- API連携
最初から専用システムを作ることを前提にはしません。
例えば、
現在
Excelで案件管理
第1段階
Excelの項目とステータスを整理
第2段階
期限通知を自動化
第3段階
案件一覧をWeb化
第4段階
対応履歴・通知・帳票を追加
という段階的な改善も可能です。
Excelだけで十分な場合は、既存の管理方法を改善します。
Excelの複雑化が進み、複数人利用や履歴・権限管理が必要になった場合は、小規模なWebシステムを検討します。
千葉市内では、必要に応じて対面で現在のExcelや業務フローを確認できます。
オンラインであれば、千葉県内・全国から相談可能です。
Excelの案件管理に関するよくある質問
Excelで案件管理を続けても問題ありませんか?
案件数や利用者が少なく、現在問題なく管理できているなら、無理にシステム化する必要はありません。
案件数が何件になったらシステム化すべきですか?
件数だけでは判断できません。
検索時間、更新漏れ、利用者数、履歴管理などから判断します。
Googleスプレッドシートへ変えるだけでも改善しますか?
複数人での同時編集や変更履歴については改善しやすくなります。
複雑な権限や履歴管理が必要な場合は別の方法を検討します。
期限が近い案件を自動通知できますか?
Google Apps ScriptやWebシステムを利用して、担当者へメールやチャット通知を送ることができます。
案件ごとに対応履歴を残せますか?
Webシステムでは、一つの案件に複数の対応履歴を紐付けて管理できます。
担当者ごとに案件を分けられますか?
担当者や部署単位で閲覧・編集できる案件を制御できます。
Excelにある既存案件を移行できますか?
データを整理したうえで、Webシステムのデータベースへ移行できます。
CSV出力できますか?
案件一覧や検索結果をCSVとして出力できます。
案件管理と顧客管理をまとめられますか?
一つの顧客に複数案件を紐付ける形で管理できます。
小規模な案件管理システムでも依頼できますか?
一覧・登録・検索・編集・進捗管理だけの小規模な構成から始められます。
Excelでの案件管理が複雑になっている方へ
Excelで案件管理を始めること自体に問題はありません。
ただし、
- 案件数が増えた
- 複数人で更新する
- ステータスが統一されない
- 期限超過が発生する
- 更新されない案件が残る
- 担当者変更時の引き継ぎが大変
- 過去の対応履歴が分からない
- 毎月集計資料を手作業で作っている
といった問題が増えてきた場合は、運用を見直すタイミングです。
解決方法は、必ずしも新しいシステムを開発することではありません。
Excelの整理、Googleスプレッドシートへの移行、GASによる通知、既存SaaSの導入などでも改善できる場合があります。
hiro-dev-labでは、現在の案件管理方法を確認し、
Excel改善・自動化・既存サービス・Webシステム化の中から、業務規模に合った方法を提案・実装します。
Excelでの案件管理・業務システム化について相談する